人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
人工市場を用いた株式市場における空売り規制期間と市場安定性の相関性分析
八木 勲水田 孝信和泉 潔
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2010 年 2010 巻 FIN-005 号 p. 08-

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抄録

株価急落による市場不安定化を抑止するために,金融当局により空売りが規制されることがある.これまでに空売り規制が市場に与える影響を分析した研究は多々行われてきたが,その結果は賛否両論である.そこで本研究では,現実の金融市場を計算機上で模倣した市場(人工市場)を用いて,空売り規制が株式市場安定化にどのような効果をもたらすかを検証した.はじめに,空売り規制期間と市場の安定性の関係について分析し,規制期間が長くなればなるほど,バブル発生回数が増加し,市場が不安定になることを示した.次に,リスク資産率と市場効率性,安定性の関係について議論した.その結果,リスク資産率が小さいとき,規制なし市場は安定的となるのに対し,規制あり市場は不安定となることを示した.一方,リスク資産率が大きいとき,規制なし市場では市場が非効率となるのに対し,規制あり市場では市場が効率的となることを示した.

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© 2010 著作者
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