人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
第24回金融情報学研究会
人工市場を用いた高頻度取引が金融市場流動性に与える影響の調査
益田 裕司水田 孝信八木 勲
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2020 年 2020 巻 FIN-024 号 p. 117-

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抄録

近年,金融市場では「流動性」に関心が集まっている.流動性は金融市場の盛況を表す尺度とされ、「取引のしやすさ」とも捉えられる.実証研究ではそれぞれの研究目的に沿った流動性指標が定義され,それらの有用性が議論されていた.この流動性に大きな影響を与えるといわれているのが高頻度取引(HFT)である.しかし,HFT が流動性指標にどのような影響を与えるのかは明確にされていない.そこで本研究では,人工市場を用いて,HFT を用いるエージェントが主要な流動性指標(Volume,Tightness,Resiliency,Depth)にどのような影響を与えるのかを指標の相関も考慮しながら調査した.その結果,HFT がいない場合と比べ,流動性指標は流動性が高まる方向へと変化していることがわかった.このことからHFT は市場流動性を高める効果がある可能性が示唆された.

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© 2020 著作者
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