2020 年 2020 巻 FIN-024 号 p. 50-
近年,個別株式のリターン予測において,様々なファクターの中から予測に有用な特徴量を自動で抽出することのできる深層学習技術の応用研究がなされている.しかしながら,深層学習は計算の過程が複雑で,人間にはその予測根拠の把握が難しく,意思決定に理由が求められる実務での利用において,解釈の困難さが課題視されることがある.一方,深層学習の解釈手法についても研究が行われており,深層学習において研究が盛んな画像分類等のタスクだけでなく株価指数や株式個別銘柄等の資産価格リターン予測を行う深層学習モデルに対しても解釈を行う研究が行われている.本稿では,モデルの解釈に焦点を当て,個別銘柄のリターン予測をタスクとした深層学習モデルについて,LRP と呼ばれる深層学習の解釈手法を用いて,各入力値の寄与度を個別銘柄レベルで確認した.さらに,深層学習モデルの入力値に個別銘柄属性だけでなくマーケット指数等の市場情報を用いることで,銘柄属性と市場トレンドの2 つの側面での分析を行った.