人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
解釈性を持つマクロファクター構成手法
野間 修平中川 慧伊藤 彰朗
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2020 年 2020 巻 FIN-025 号 p. 54-

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抄録

資産配分の文脈において,各資産の価格変動を横断的に説明する共通因子を構成し,これを介して資産配分を決定するアプローチが注目されている.このような価格変動の共通因子はリスクファクターと呼ばれる.特に,マルチアセット市場(multi-asset market) を説明するリスクファクターはマクロ経済的な概念と紐づけて解釈されることが多く,マクロファクターとも呼ばれる.リスクファクターの構成手法としては主成分分析が広く用いられている.しかし,主成分分析によって構成されるリスクファクターは上位のものを除き,その解釈が困難であるという問題点がある.リスクファクターを介して資産配分を決定するアプローチにおいては,より多くのリスクファクターを解釈できることが望ましく,このような主成分分析の性質は実務上重大な問題である.本研究では上に掲げた主成分分析の問題点を解決する次元削減手法を提案し,人工データ及びマルチアセット市場データを用いた実験によってその有効性を示す.マルチアセット市場データを用いた実験では,提案手法によって構成されたマクロファクターを貿易,金融政策,外交政策など,相異なるマクロ経済的な概念と紐づけて解釈する.

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© 2020 著作者
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