2024 年 2023 巻 FIN-032 号 p. 96-101
本研究では,正例データとラベルなしデータによる二値分類器の学習(learning from positive and unlabeled data; PU学習)を応用して,ターゲットマーケティングにおける潜在的顧客の特定のための手法を提案する.私たちは,企業がある商品を販売し,その商品を購入した顧客を観測できる状況を考える.意思決定者は,人々の企業へのロイヤルティの有無に基づいて,効果的に商品をマーケティングすることを目指す.ロイヤルティのある人々とは,マーケティングを行わなくても,その企業に対して関心があるような人々である.そのような人々は,企業がマーケティングを行わなくても,その商品に興味があれば,その企業で商品を購入する可能性が高い.そのため,商品に興味はあるものの,企業に対するロイヤルティが低い顧客に向けてマーケティングの焦点をあてることで,より効率的なマーケティングを行うことを考える.この目的のもと,潜在的な顧客を特定する分類器を限られたデータから学習する方法を考える.私たちのアルゴリズムは一段階の最適化で構成されているが,目的関数には潜在的にPU学習アルゴリズムの損失を二つ含んでいる.そのため,提案するアルゴリズムを二重PU学習と呼ぶ.提案アルゴリズムの妥当性はシミュレーション研究を通じて確認される.