2024 Volume 2024 Issue FIN-033 Pages 99-105
株式のアノマリーのひとつとして知られるモメンタムファクターはJegadeeshらによって発見された。そのプレミアムの源泉は、行動バイアスによるミスプライスから生じるとするのが定説である。実際、多くの研究において、行動バイアスの代理変数を用いることでモメンタムの効果が高まることが実証的に確かめられてきた。モメンタムファクターは、平時は着実にプレミアムを生み出す魅力的なファクターの1つであるが、市場ストレスの発生時にはモメンタムクラッシュとよばれる現象によって大きなドローダウンを引き起こすことが知られている。運用担当者としては、中長期的な累積パフォーマンスが良好であったとしても、一時的にパフォーマンスが著しく悪化するモメンタムクラッシュは受け入れがたい。本稿では、先行研究で提案されてきた行動バイアスの代理変数などを特徴量とする機械学習モデルを構築した。この機械学習モデルによって銘柄選定を行うことで、パフォーマンスを維持したまま、モメンタムクラッシュによるドローダウンを抑えることができた。