主催: 人工知能学会
会議名: 第100回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 100
開催地: 国立国語研究所 講堂
開催日: 2024/02/29 - 2024/03/01
p. 170-175
話題の境界,もしくは遷移の検出は,自然言語処理における課題の1つである.一方,話題の開始,終了などは会話参加者にとっても実践的な問題でありうる.本研究は,会話分析の手法を用いて,進行中ないし直前の話題に結びついてなされる行為連鎖を分析する.対象となる行為連鎖は,話題における参加者たちの知識,権利,義務などの分布から順当に推論されうるものである.行為の発話の組み立てにおいては,明確にその行為として理解できるような言語的特徴を持つ一方で,省略や指示などによって話題に結びついていることが示される.連鎖開始の行為は,「話しの流れ上」でなされたものとして,なんらかの意味で「弱さ」を持っているが,その「弱さ」を克服するための工夫がなされうる.その行為連鎖の完了が先行話題の完了でもありえて,また話題が行き詰まったときに,その話題を終了に持ち込むために行為連鎖が用いられうる.