主催: 人工知能学会
会議名: 第100回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 100
開催地: 国立国語研究所 講堂
開催日: 2024/02/29 - 2024/03/01
p. 222-227
文を理解する際には「誰が,誰に,…」という参与者の役割を明らかにする必要がある.このタスクは意味役割付与と呼ばれるが,多義性が問題となることがある.例えば"Alice replaced Bill"のAliceには,Billの立場を奪う動作主としての読みと,Billと入れ替わる対象としての読みがある.これらの差は動詞が喚起する事態(意味フレーム)の差に求められる.先行研究では意味フレームの同定に有生性などの参与者の意味クラスが有効になることが報告されているが,その同定に利用される意味クラスは恣意的に選定される.本研究では,生物であるか,ヒトであるか,自然物であるか,という三つの意味クラスの有効性を評価する.分析の結果,全体としての精度は大きく変動しないが,生物であるかという基準が最も有効であることが判明した.この結果をもとに,意味資源を構築する際の有効な意味クラスの特徴について議論する.