会議名: 第106回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 106
開催地: 早稲田大学 早稲田キャンパス8号館B107
開催日: 2026/03/03 - 2026/03/04
p. 152-158
本研究では、演者と観客との相互行為に着目し、オープンコミュニケーションとしての「客いじり」が笑いを導く構造を、日本の漫談とアメリカのスタンダップコメディの比較から明らかにする。綾小路きみまろおよびジョー・コイのライブでの客いじり場面を分析対象とし、いじりのユーモアスタイルを分類した上で、遊戯性を示すコンテクスト化の合図や演者の視線配分、発話アドレスの指示性に着目した質的分析を行った。その結果、両者に共通して特定の観客への内部指向的発話と視線移行による外部指向性が確認された。一方、漫談では包括的アドレスやフォローにより笑いやすい環境が実現しているのに対し、スタンダップコメディでは特定の観客への継続的ないじりから全体の笑いを誘う傾向にあった。以上より、オープンコミュニケーションとしての客いじりの様式は共通するが、アプローチの手法や笑いを生起させる過程に文化的差異が現れることが示唆された。