抄録
肝静脈造影用double-balloon catheter (DBC)の有用性については, すでに報告したが, 人においては右心房と肝静脈の間が2.5cm膨前後しかなく, この間で上のballoonで正確に下大静脈を遮断する事は難かしい。DBCでう'まくすべての肝静脈が造影されない症例および門脈圧を測定する必要のある患者の為に, このたび新たに2-lumen, single balloon catheter (2L-SBC)を開発した。shaft部及びballoon部ともsilicone rubberであるがguide wireとの滑りを良くする為にpolyethylene管を入れたところ, 事前に熱処理で先端部を屈曲する事が可能となり,すべての肝静脈へcatheterの插入が極めて容易となった。門脈圧が測定出来るとともに右肝静脈が下大静脈より始め1本で出で後に枝分れする最も太いtypeの肝静脈本幹でも2L-SBCで完全閉塞出来るので, すべての肝静脈が造影可能となり, 極めて鮮明な造影像が得られるとともに安全な肝静脈造影法と思われた。