人工臓器
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酢酸透析および重曹透析におけるCardio vascular Instabilityと, カテコールアミンの効果
川村 孝安野 尚史上松 治儀清水 武大石 洋山本 富男杉山 敏稲垣 豊天野 泉
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1982 年 11 巻 6 号 p. 1058-1060

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抄録

血液透析中の循環動態を検討するため, 慢性腎不全による長期透析患者6名を対象とし, そのそれぞれにacetateまたはbicarbonateを含む透析液を用いて透析を行い, SWAN-GANZ thermodilution catheterを挿入して心血行動態的検索を行った。なお, 循環血漿量の変化による影響を除くため, isovolumetric hemodialysisとした。acetate透析では, 透析中, 末梢血管抵抗の減少と動脈圧の低下が認められた。また, 心拍出量の増加および肺動脈楔入圧の低下傾向, 左室仕事量の減少がみられた。一方, bicarbonate透析では, 各指標の変動はわずかであった。またacetate透析時, Noradrenaline投与により低下した末梢血管抵抗の回復と共に血圧低下の改善がみられたが, Dopamineではその改善にやや多量を要し, 心拍数増加や頭痛等の自覚症状の出現も認められた。以上より, acetate透析時の血圧低下にはNoradrenalineの使用またはbicarbonate透析が有用と思われた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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