人工臓器
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CAPDの中, 高分子量物質の除去特性
鄭 大基金沢 伊代子小田 治斉藤 明太田 和宏
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1982 年 11 巻 6 号 p. 1065-1068

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抄録
4名のCAPD患者の透析排液の中, 高分子物質をSDS電気泳動, 免疫拡散法, 高速液体クロマトグラフィーによって検討した。患者はいずれもHD治療からCAPD治療移行1ケ月後付近から, Ht値の改善がみられた。SDS電気泳動で透析排液中の各種の低分子タンパク質が漏出されていることを認めた。13種類のタンパク質を定量し、1週間当りのタンパク質漏出量を求めた。総タンパク質量41.8±5.6g, アルブミン19.9土5.0g, レチノールバインディングプロティン177.8±38.mg, β2-ミクログロブリン229.5土67.5mgの漏出量であった。中分子量物質の高速液体クロマトグラムや低分子タンパク質の漏出量から生体腹としての腹膜の性質を直接示唆しなかったが, 高値にある腎不全血中の低分子タンパク質を正常値に近づける治療法はいくつかの臨床症状の改善に有効であると思われた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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