抄録
昭和46年4月から50年4月までの4年間に28例の三尖弁置換術が施行されたが, そのうち入院死を除く17例を対象とし, 平均8年6ヵ月のfollow upで得られた, 遠隔成績, 合併症, 血行動態の推移を検討して, 以下の如き結論が得られた。
1. 三尖弁置換術後の遠隔成績は比較的良好で, 退院症例の8年後の生存率は80%であった。また致命的な合併症, 血栓弁, 肺動脈塞栓症はまったく認めていない。
2. MVR+TVR症例の術後血行動態は安静時には良好であるが, 運動負荷時には問題があり, 機能的三尖弁狭窄の状態になることが推測された。
3. 以上運動負荷時の血行動態に若平問題があるが, 重症例であるにもかかわらず, 長期の安定した成績が得られていることから, 適応症例には三尖弁置換術を積極的に行ってよいと考える。