1983 年 12 巻 1 号 p. 146-149
新しく登場した心臓代用弁である単葉傾斜ディスクのBicer-val弁(B-V), 低い弁高を有するブタ弁であるLiotta弁(Liot), Biocor弁(B-C), ウシ心のう膜弁でやはり弁高の低いRoss弁(R-B), 新Ionescu弁(NIS), IMC弁らに対し, in-vitroの水力学的試験を行ない, Gorinの式に基づく弁口面積を算出し, 従来の弁との特性比較を行なった。まずB-VはBjörk-Shiley (B-S)より広い弁口面積を有し, B-S (C-C), Omniscience弁, SJM弁らと同等の特性であったが, 頻脈応答性は多少劣る。Liot, B-Cらの弁口面積はMO-Hancock弁(H250), 新Carpentier弁らのブタ弁と同等の値を呈したが, B-Sより約15%小さい。ウシ心のう膜弁では, Ionescu弁(I-S)がB-Sと類似した弁口面積であるのに対し, IMCはH250と同等, R-B, NISは試験弁18種の中で最大の弁口面積を有した。以上, 各弁それぞれの水力学的特性が明確となった。