人工臓器
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新しい一時的体外バイパスチューブによる大動脈の手術
ヘパリン化親水性材料(H-PSD)の臨床応用
島津 和彦青見 茂之平山 統一土田 弘毅黒沢 博身橋本 明政森 有一
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1983 年 12 巻 1 号 p. 195-198

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抄録

ヘパリン化親水性材料(H-PSD)をポリ塩化ビニル(PVC)製チューブにコーティングし, 大動脈外科用一時的体外バイパスチューブを開発し, 3例の臨床応用と実施した。1例はDe Bakey III型解離性大動脈瘤, 2例は大動脈縮窄症であった。バイパス時間は3例とも約60分であった。バイパス中のヘマトクリット値, 血小板数, フイブリノーゲン量には外科的出血によるものと考えられる若干の減少が認められたが, バイパスチューブに起因するものではなかった。一方, ACT値診よびリー・ホワイト時間は一定であった。これはバイパスチューブから溶出するヘパリン量は全血凝固時間に影響を与えない量であることを示している。遊離血栓形成の目安であるフイブリン分解物量(FDP)はバイパス中10倍以下(一)であった。臨床に使用したバイパスチューブの内面を走査電顕により観察した結果, 若干の白血球の付着は認められたがフイブリン網, 血小板の付着は認められなかった。これに対してコントロール試料として用いたTDMAC-Heparinチューブの場合には血小板, フイブリン網の付着が認められた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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