人工臓器
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完全人工心臓の制御方法の開発
―電気刺激による神経制御の試みとその効果―
井街 宏藤正 巌宮本 晃滝戸 直人中島 正治稲生 紀夫本村 喜代二満渕 邦彦河野 明正小野 俊哉渥美 和彦
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1983 年 12 巻 1 号 p. 24-27

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抄録

完全人工心臓の制御方法はまだ完全とは言えず, 軽度の貧血やCVPの上昇など制御法に起因すると思われる異常な循環動態が見られ食欲や排尿など一般の生存状態も左心バイパスやハイブリッド型完全人工心臓を装着したヤギに比して劣っている。この様な差異を生ずる原因の一つは, 心臓を切除あるいは細動にした動物では心臓受容器から中枢への求心性神経パルスが欠如するためと考えられる。本研究は心臓を細動にした完全人工心臓装着ヤギに, 矩形波の電気刺激を持続的に与え, 循環動態に及ぼす効果を検討したものであるが, 実験の結果, HtやTpの著明な回復, 甲状腺ホルモンの回復などが見られ, トレッドミルによる運動負荷に対する応答性, 一般の生存状態もハイブリッド型完全人工心臓の状態に極めて近いという結果を得た。これらの結果は, 完全人工心臓の制御において圧や流量の他に神経系の制御の必要性を示唆するもので, 今後さらに細い解析を進めるべきと考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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