1983 年 12 巻 1 号 p. 250-253
サック型ポンプをヤギに装着し人工心臓ヤギを作成した。術後安定した期間(1~2週間)後に左心ポンプのみを遠心ポンプと交換し, 体循環を非拍動流循環として血行力学的なパラメーター測定と, 血液生化学的な検査を施行する事により, 拍動流と非拍動流循環の末梢に対する影響を比較検討した。主たる観察臓器は腎臓とした。非拍動流循環中の右心拍出量を拍動流と同様な値に保つと, 全身状態は悪化し起立摂食不可能となった。このため拍出量を拍動流循環時よりも約22%増加させた例では51時間の非拍動流循環が可能であり, 腎機能については尿量, クレアチニンクリアランス等においても正常範囲に保たれていた。しかし非動流循環中全末梢血管抵抗は徐々に増加し, 再び拍動流循環に戻すと減少した。腎血流については, 非拍動流循環時に減少するが, 心拍出量の増加につれて増加し, 約22%増加時に拍動流循環と同様な心拍出量に対する血流分布を示した。