人工臓器
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合成高分子膜血液浄化器の血液透析における役割
―Polysulfone膜の検討―
南部 正人今井 了草刈 修一酒井 〓
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1983 年 12 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

合成高分子膜(ポリスルフォン膜)血液浄化器(PS・AK, ASAHI)を主として血液透析(HD)に用い種々検討し、若干の知見を得たので報告する。PS・AKのパーフォーマンスとしてのClearnceはUN 167ml/mm, β2-Microglobulin (β2-MG)46ml/min, Myoglobin(Mb)39ml/minおよびUFRは29.4ml/mmHg/hと優れた値を示した。免疫系(WBC, CH50)えの影響は軽度で、低分子量蛋白(β2-MG, Mb)の平均除去率50%とhemocompativilityの点でも優れていた。透析液漏出蛋白は他の合成高分子膜(EVAL, PMMA)で3~10g、PS・AKでは平均15g(TypeA)、および6g(Type B)であり、β2-MGの除去量は200(A)および160mg(B)であった。SDS・PAGE分析結果よりMW 94,000附近以下の蛋白を確認し、β2-MG, Mbに相当する分子量の蛋白も証明された。IPE分析では血清蛋白の主要成分(Albumin, Transferrin, IgG)が検出された。 以上の結果より中分子量物質、低分子量蛋白に由来すると考えられたuremic toxin(s)の除去がPS・AKを用いることで通常の血液透析においても可能になりうると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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