医用材料を新たに設計するにあたり, あるいはその評価を下す場合の目標として, 生体機能を無理なく引き出すことが優れた材料である, という考え方を示した。生体には幅広い順応性や修復性があるため, 特に毒性のある材料以外はなんとかその生体機能のお陰でカバーされ受け入れられてきたのが現状である。しかしながら, 生体はそれなりに無理を強いられているため, 長期間使用していたり, あるいはひとたび生体が衰弱して順応性の範囲が狭くなると, 人工臓器一生体間の関係が破綻し, 人工臓器は機能を発揮しなくなる。そこで医用材料側としては, 同じように生体に受け入れられるにしても, いかに無理なく受け入れられるかを考えてゆくことが生体機能を充分に発揮させるもととなると考えられる。