PMMA膜を用いた血液濾過治療では、膜透過性がないと考えられるβ2ミクログロブリン(β2-MG)の血中レベルが低下する。これは膜表面への吸着現象によるものと推定される。このような現象がβ2-MG以外の溶質でも、他の膜材質でも見られるかどうかを検討した。in vitroでの尿毒症患者血漿と膜切片のインキューベーション実験では、PMMA膜でのβ2-MG、グルカゴン、PAN膜(ASK-PAN-15)でのリゾチームの強い吸着が示唆された。クプロファン膜での著明な吸着は見られなかった。PMMA、PAN、クプロフアン膜のモジュールを用いた患者血漿の閉鎖循環実験も、 同様の結果を示した。しかしin vivoでの検討では、in vitroでの結果を必ずしも正確には反映しなかった。PMMAの場合、グルカゴン、β2-MG、リボヌクレアーゼ、リゾチームが低下したが、PANではグルカゴン、リゾチームの低下が認められた。以上よりある種の溶質は、膜による選択的吸着を受けていることが実証された。