人工臓器
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血液濾過用フイルターでの血中溶質の吸着
遠藤 信之池田 裕保科 繁中村 藤夫古川 守中川 一郎阿部 町子浦野 寿夫鈴木 正司平沢 由平
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1983 年 12 巻 1 号 p. 49-52

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抄録

PMMA膜を用いた血液濾過治療では、膜透過性がないと考えられるβ2ミクログロブリン(β2-MG)の血中レベルが低下する。これは膜表面への吸着現象によるものと推定される。このような現象がβ2-MG以外の溶質でも、他の膜材質でも見られるかどうかを検討した。in vitroでの尿毒症患者血漿と膜切片のインキューベーション実験では、PMMA膜でのβ2-MG、グルカゴン、PAN膜(ASK-PAN-15)でのリゾチームの強い吸着が示唆された。クプロファン膜での著明な吸着は見られなかった。PMMA、PAN、クプロフアン膜のモジュールを用いた患者血漿の閉鎖循環実験も、 同様の結果を示した。しかしin vivoでの検討では、in vitroでの結果を必ずしも正確には反映しなかった。PMMAの場合、グルカゴン、β2-MG、リボヌクレアーゼ、リゾチームが低下したが、PANではグルカゴン、リゾチームの低下が認められた。以上よりある種の溶質は、膜による選択的吸着を受けていることが実証された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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