人工臓器
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人工心臓駆動時の血球の変形の観察とその原因の解析
井街 宏藤正 巌中島 正治塚越 茂満渕 邦彦宮本 晃滝戸 直人稲生 紀夫何野 明正小野 俊哉渥美 和彦
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1984 年 13 巻 1 号 p. 205-208

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抄録
人工心臓駆動時の血球の変形を簡便に観察する方法を開発し, それを用いて, 人工心臓駆動に伴う血球の変形の程度を観察し, その原因を解析した。観察には巾200μm, 厚さ20μmのガラスキャピラリーを用い, ヘパリン採血し生理食塩水で3倍程度に希釈した血液を満すという操作のみで直接顕微鏡観察が可能であった。心細動型完全人工心臓や左心補助心臓など通常の人工心臓の駆動では血球の変形はほとんど見られないが, 動物が末梢循環不全に陥った場合, 完全置換型人工心臓で2週間を過ぎた後, 遠心ポンブを用いた場合などに強度の変形赤血球が現われ, 貧血も同時に生ずることが明らかになった。完金置換型人工心臓における血球の変形は手術中に用いた人工心肺により造血機能などが低下するために起こることが考えられ, 人工心肺の方法を改善した例では見られなくなった。人工心臓駆動時の血球の変形は実験動物の循環動態の良い指標の一つになり得ることも明らかになった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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