人工臓器
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ハプトグロビン投与による機械弁の術後慢性溶血の評価
塩井 健介阿部 稔雄村瀬 允也田中 稔川村 光生野垣 英逸竹内 栄二柿原 理一郎末永 義人日比 道昭伊佐治 文朗渡辺 孝三枝 裕幸佐藤 浩生弥政 洋太郎小林 淳剛永田 昌久土岡 弘通
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1984 年 13 巻 1 号 p. 296-299

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抄録
弁置換術後の機械的溶血の診断の一つとして血清ハプトグロビン(S-Hp)値が用いられるが, 機械弁の場合は鋭敏に過ぎ問題が多い。今回, 外来通院中の大動脈弁置換8症例にヒト精製ハプトグロビン(P-Hp)を点摘投与し, その後のS-Hp値の経時的変化より血管内溶血の定量的判定を試みた。投与前のS-Hp値は全例10mg/dl以下で, 血清遊離ヘモグロビン(free-Hb)と結合し, 消費されていることが予想された。P-Hp投与によりS-Hp値は154±62mg/dl (Hp-Max)となり, f-Hbと複合体を作り経時的に異化減少した(Hp-消失率:-13.9±5.4mg/dl/hr)。血中よりの消失時間は13.3±7.9hr (Hp-消失時間)であった。血清LDH値とこれらの指標との相関性はr=0.710 P<0.05 (Hp-Max), r=0.722; P<0.05 (Hp-消失率), r=0.750 P<0.02 (Hp-消失時間)といずれも有意であった。S-HP値は肝疾患, 炎症性疾患などの影響を受け, 日内変動も無視できないが, P-Hp剤の投与はこの影響を少なぐでき, 機械弁の溶血判定に有用と思われる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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