抄録
ファロー四徴症11例の右室流出路形成術としてMVOPを使用した. 流出路拡大として使用したパッチには, 動脈瘤様拡張, あるいは萎縮石灰化等はみられなかった. 肺動脈弁閉鎖不全に対処すべきmonocuspの機能に問題があった. 術後早期より逆流性雑音が聴取されており超音波検査では動きが不良になるのがあり, また1例は全く機能しなくなっていることが判明した. 肺動脈弁閉鎖不全の程度の判定は困難であるが, 手術後1年に施行した6例の心臓カテーテル, 心血管造影所見では, かなり強い逆流が生じていた. 手術手技, サイズの選択の問題もあるがmonocuspの将来の退行性変化の出現する可能性も考えるときMVOPの使用もやはり手術後の急性期の肺動脈弁閉鎖不全を可及的に少なくし手術成績をよくすることを第一目標とすべきであろう.