人工臓器
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頻拍に対する自動的スキヤニングペースメーカーの問題点
斉藤 裕三崎 拓郎松永 康弘岩 喬
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1984 年 13 巻 1 号 p. 367-370

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抄録
近年頻拍に対し体内式ペースメーカーで自動的に単発刺激の可能なAutomatic Scanning Pacemakerが臨床で用いられるようになつた。著者らはWPW症候群の回帰性頻拍に対し他医にて本ペースメーカーを植え込まれた後に発作性頻拍性心房細動を認めようになつた症例を経験した。頻拍性心房細動時, 回帰性頻拍と誤認したために発生した刺激が右室に無秩序に加えられていた。副刺激伝導路切断とペースメーカー除去を行ない, 頻拍の根治に成功した。WPW症候群は元来心房細動を発生しやすぐ, 時にこの心房細動が心室細動を起こし致死的となる場合がある。WPW症候群にこのペースメーカーを植え込むことは心房細動発生を助長するばかりか, 心房細動発生後の本ペースメーカーよりの刺激は危険な不整脈の発生原因になると思われ, 禁忌と考えられる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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