人工臓器
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僧帽弁位置換弁の選択
矢田 公草川 實庄村 赤裸
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1984 年 13 巻 1 号 p. 37-40

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抄録

1976年から1982年までの間に教室および関連3施設で行った僧帽弁置換術症例351例につき, 機械弁(主にB-S弁)(以下M弁)と生体弁(主としてC-E弁)(以下B弁)グループに2分し, 手術成績および遠隔成績につき検討した。対象351例のうちM弁は92例(27%), B弁は259例(74%)であった。その成績は, M弁では手術死亡は6例(6.5%), 遠隔死亡は8例(9.3%)に対し, B弁では夫々22例(8.5%), 15例(6.4%)となり置換弁による差はみられなかった。また死亡原因からは両者間に有意差をみなかったが, ただ感染症の頻度がM弁の1例(1.2%)に比しB弁は9例(3.8%)と多かった。生存曲線をみるとM弁で平均2.7年, B弁で2.9年, 累積追跡期間は夫々226と672 patient-yearであるが3年生存率では85%, 85%, 6年生存率でも85%, 85%と全く同じであった。6年の遠隔追跡ではその他血行動態も含め差はなかったが, B弁の弁機能不全については更に長期の観察が必要であると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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