人工臓器
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ペースメーカー機能と放射線療法
豊田 道明石橋 修越川 雅宏酒寄 享中込 恵美子森田 裕和田 淑郎水沼 裕光池田 晃治岩田 猛男池崎 広海原 澄夫横山 慎一
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1984 年 13 巻 1 号 p. 372-375

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抄録
われわれは, ペースメーカー植込み症例の肺癌治療に際して, 姑息的療法として放射線療法を行った。今後このような症例が増加すると考え, ペースメーカー装置の放射線療法の影響を検討した。臨床症例では, 右上肺野の腫瘍は, 総線量6000radsの60CO照射により消失し, 左前胸部皮下のペースメーカー装置に異常は現われなかった。実験において, 1000radsまでの分割照射では, pulse intervalに大きな影響が認められたほか, 電圧, 電流, 感知能にもそれぞれ影響が認められた。特に感知能に関しては, プログラム型ペースメーカーでは, 感知能不全が観察された。1000radsの一回照射では, プログラム機構が複雑な装置に機能破壊の傾向が認められ, 特にDVI装置では, 心房側の一過性のruna way, および発振停止が認められた。未だペースメーカーの放射線照射による影響についての報告は少ないが, 今回の実験から, 100radsの少量照射でも, その影響は無視することのできないものと思われた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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