人工臓器
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ワーファリン併用Gore-Texグラフトによる下肢動脈バイパス術
小出 司郎策金渕 一雄稲村 俊一福田 崇典小川 純一井上 宏司川田 志明正津 晃
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1984 年 13 巻 1 号 p. 417-420

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抄録
人工血管移植後は, 人工血管の内腔を新生内膜が被覆し生着するまで, 血液を凝固させない状態に維持すればグラフトの開存率は上昇すると考え, Gore-Texバイパスにはワーファリンを併用してきた。このたび, 1月以上開存したGore-Texバイパス症例38例(49肢, 53本)をワーファリン非投与群と投与群とにわけて, ワーファリンは遠隔期のグラフト開存率を上昇させるか否かを検討した。
検討の結果, 開存率は非投与群が58%に対して, 投与群は89%と有意に高値を呈した。また, 1年以上の観察期間の症例で再者を比較すると, 非投与群58%に対して投与群は95%と有意に高い開存率を示すことから, 術後1年経過以後もワーファリン投与を続行する方針である。
また, グラフト閉塞例の再手術時に, ワーファリン投与例ではグラフト内に新鮮血栓がみられず, 末梢動脈内への血栓進展も非投与例に比べ遅い印象を得た。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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