抄録
体外循環時に白血球の減少と共に補体の減少がみられるが, この原因としては血液に対するbiomaterialの影響が考えられる。そこで今回我々は人工心肺時に用いられる各種人工材料を用いて補体活性変動と分離白血球に対し凝集能試験を行った。その結果は,
1) Polyester, Polypropylen, sihcone膜と血漿によって補体第2経路活性が主に生じる事はわかった。そしてこの活性の程度はsilicone, polypropylene, polyesterの順に軽い傾向が認められた。
2)酸素の直接作用は人工材質の作用と同様補体活性が生じる事が明確となった。
3)各種人工膜を作用させた血漿によって白血球凝集が生じることが明らかとなった。
である。この事から, 我々は開心術やMCMOの時には補体活性が生じていることに配慮し, 予防についても考えていかねばならない。一方補体活性を起さない材質の開発をも必要であろう。