人工臓器
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大量心筋保護液使用例における限外濾過の有用性について
前田 雅道麻田 邦夫井上 隆夫志熊 粛近藤 敬一郎柿本 祥太郎木村 弘大関 道麿佐々木 進次郎武内 敦郎
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1984 年 13 巻 1 号 p. 463-465

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抄録
長時間の体外循環時間を要し, 大量の心筋保護液を使用する開心術例では, その液を回路内に回収すると血液希釈率が異常に高くなり水分バランスの維持を困難にすることがある。この余分な水分を術中積極的に排出するため, 限外濾過法を10例(I群)に併用した結果,その有用性を認めたので, 非併用9例(II群)と比較し検討した。GIK使用量はI群30.7±10.5ml/kg, II群19.3±6.3, 限外濾過量は30.0±8.1ml/kgであった。ICU入室時バランスはI群+44.6±17.9ml/kg, II群+43.6±25.7とI群では循環時間が長く, GIK使用量も多かったにもかかわらず, 両群に差は認めなかった。また膠質浸透圧も両群とも同様の推移を示し, 血漿浸透圧はほぼ一定の値を示した。本法は細胞外液(組織間)に貯留すべき水分を濾過するものと思われ, 簡便なだけでなく, 心筋保護法の徹底, 術後の水分管理についてなど種々の利点をもつものと思われた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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