抄録
心・肺・肝・腎・脳・凝固系の6臓器障害の多臓器不全(MOF)10例に対し遠心分離法による血漿交換を計39回施行し2例を救命し得たので報告する。血漿交換による障害臓器の改善率は心60%, 肺40%・肝80%, 腎40%, 脳40%, 凝固系50%であった。TB, BUN, GOT, GPT, LDH, CPK, ATIII, FDPは血漿交換により有意に改善した。また著しく異常値であったβ2-microglobulin, 総胆汁酸, 補体活性の改善傾向が得られた。MOFでは過酸化脂質が著明に増加しておりそれが血漿交換によって正常近くまで減少した。アミノ酸分画や脂肪酸分画はMOFで著しくimbalanceとなっていたが, 血漿交換による改善は得られなかった。血漿交換は, 未だ知られてないものも含めてMOF増悪因子の除去と欠乏因子の補充が短時間で可能で, 切り札的な治療手段のないMOFに対し, 将来有望な治療手段となりうることが示唆された。