人工臓器
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補助人工心臓, 左房脱血カニューラの挿入と抜去法の検討
内田 直樹香川 謙本郷 忠敬三浦 誠浦山 幸樹仁田 新一片平 美明堀内 藤吾
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1095-1098

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抄録

補助人工心臓による循環補助から離脱した後, カニューレを抜去するためには再び手術操作を必要とする。この様な手術操作は, 患者の血行動態が安定した後に行なわれるのが理想的であるが, カニューラを心臓内に比較的長期間留置した場合, 血栓形成ならびに血栓塞栓症の発生が危惧される。この点に鑑み, 雑種成犬を用いた動物実験で, アブコサンで被覆した塩ビ性カューラを10~14日間心房内に留置し, 血栓形成および遠隔臓器への血栓塞栓症の有無を病理組織学的に検討した。心房内ではカニューラと心房壁の接合部合に著明な肉芽組織の増生はなく, カニューラ外側にも血栓形成を認めなかった。肺・腎・腸管膜にも血栓塞栓症は認められなかった。以上の結果より, 補助人工心臓駆動停止後, 心房内の脱血カニューラは10~14日までは留置することができ, 実地臨床においても患者の臨床症状の安定をまってカニューラを抜去し得ることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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