人工臓器
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電磁石を駆動源とする左心補助装置の開発
―特に末梢循環の面から―
宮村 一男鹿野 和久新保 秀人那須 通寛庄村 赤裸矢田 公草川 実
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1199-1201

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抄録

冠状動脈結紮によって心不全を作製した雑種成犬に, 心尖部脱血-下行大動脈送血方式で左心補助装置を作動させ, 各部血圧, 自己心拍出量, 左腎動脈及び左総頸動脈血流量を計測した。その結果, 約2L minのバイパス流量を得て, 左心不全犬の循環状態を改善し, 腎及び頸動脈血流量は, ほぼcontrol値に回復した。尿量も1~2ml/kg/hrを維持しえた。このバイパス流量は, 正常時心拍出量の約75%で, 総拍出量(自己心拍出量+バイパス流量)の80~95%であった。両心不全時でも, 左心バイパスで, 正常時心拍出量の75%の流量が得られれば, 末梢循環は保持されているものと考えられた。それが不可能ならば, 両心バイパスの適応となろう。また, 一時的左心補助として使用する装置は, 症例によっては, かなり小型のもので十分と思われる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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