人工臓器
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人工弁置換術後にみられる血液凝固能の変化について
工藤 龍彦石川 幹夫本保 秀三秋元 直人矢尾 善英杉江 三郎
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1351-1354

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抄録

人工弁置換術後の25例を対象とし、術後約1ヶ月間の血液凝固能の変化について検討した。検査項目は血小板数、トロンボテスト、フィブリノーゲン、FDP、AT-IIIの5項目で、術後第1日目から35日目までの期間に12、3回にわたって測定した。各項目別の測定結果は、血小板数は術後6日目までは減少するが、それ以後急激に増加し、35日以降に術前値に戻った。トロンボテスト値は4日目以後に治療域内に安定した。フィブリノーゲンは2日目から上昇し、7日目には461mg/dlの高値を示し、35日目まで高値が続いた。FDPは術後1日目から上昇し、5日目に90μg/mlと最高値に達し、その後は徐々に低下した。AT-IIIは4日目と10日目に低下したが、比較的変動が少かった。以上、人工弁置換術後の血液凝固能は術後1ヶ月間はやゝ亢進した状態が続き、その後徐々に術前値に回復する傾向がみられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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