人工臓器
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大動脈領域に用いたBicer-val弁25例の検討
河内 寛治大山 朝賢飯岡 壮吾宮城 康夫高 義昭森田 隆一山田 義帰金 烱澤西井 勤北村 惣一郎
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1364-1367

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抄録
傾斜型人工弁で最大開放角度80~82度を有する新しい人工弁のBicer-Val弁を大動脈領域に使用し, 臨床使用が30例となった。そこで, 遠隔成績ならびに本弁の収縮期及び拡張期弁機能に検討を加えた。11例に術後平均6ヵ月に安静(R)時及び運動負荷(Ex)時に検査を施行した。1)本弁の最大開放角度は平均79±1度を示した。2)本弁を介するR時及びEx時の左室―大動脈収縮期圧較差(Δp)は, 各々21mm弁では9mmHg, 14mmHg, 23mm弁では3±2mmHg, 9±4mmHg, 25mm弁では2±2mmHg, 9±6mmHgとなり, 21mm弁でEx時に10mmHg以上の値を示したが, 23及び25mm弁では10mmHg以下の低圧較差を示した。3)R時及びEx時の有効弁口面積(AVA)は21mm弁では各々1.51cm2, 1.79cm2団と低値を示し, 23mm弁ではR時4.53±0.97cm2, Ex時3.71±1.00cm2を, 25mm弁ではR時329±1.05cm2, Ex時2.78±1.03cm2となり, 23及び25mm弁では充分大きな値を示した。4)大動脈造影による人工弁逆流はcohn分類I度と軽度であった。30例中1例に, 術中, 人工弁閉鎖障害が発生したが, Discを180度回転させることにより, 閉鎖障害は消失した。より安全性を高める為に現在は開放角75°に低下させた人工弁を使用している。5)また, 3年たらずの遠隔ではあるが, 遠隔生存率は100%で, 血栓発生も皆無であることから, 大動脈弁位においては, B-V弁は他の人工弁に比してなんら遜色はなく, むしろ良好な弁であるといえる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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