抄録
Björk-Shiley弁にて大動脈弁置換術を施行した20症例(22個)を対象に, 弁の開放角度および弁座のち動揺の検討をcineradiographyを用いて行なった。相馬法による測定では平均5&6±3.7度, verdel法では59.3±4.2度であったが, 計測時のばらつきの小さい点で, 相馬法がより実用的と考えられた。相馬法を応用した弁座の動揺の計測では, 平均3.3±1.5度(1.1~5.8度)であった。2度のdetached valveでは, 著明な弁座の動揺(40度, 13度), 開放角度不良(40度, 54度)と著明なdiscのfluttering現象が認められた。以上より弁座の動揺の正常域は, 6度以下と考えられた。cineradiographyによる人工弁の観察は, 開放角度のみでなく, 弁座の動揺を計測することにより, より有用となると考えられた。