抄録
ローラーポンプの駆動に直流サーボモーターを利用しその回転の起始, 停止の繰返しにより, 通常の血液回路を使用して拍動流を得られる装置を試作した。この制御にはマイクロコンピューターを利用し, 流量を設定すればそれを一定に保持したままで拍動数やポンプの回転時間run timeを任意に変えられる簡便な操作性を特徴としている。しかし高流量時拍動流とすると所定の流量を確保できなくなる流量特性の低下やローラーの高速回転に起因する血液への障害が問題となる。このため模擬回路及び動物実験にて流量特性と溶血について検討を行った。この結果, 溶血を起こさず安定した流量を得られるのは, 内径3/8インチの塩ビチューブを使用した場合3l/minまでであった。このため, 本装置は完全体外循環時に拍動流ポンプとして使用するのは不適当であるが左心補助装置として体外循環離脱不能例に対し人工心肺終了後に転用して使用すれば, その特性を生かせると考えた。