抄録
Polypropylene hollow fiber肺(PPHF)は圧損が少なく, 操作性に優れ, さらに充填量が少ないことからECMOに有用であるが, 長時間では, serum leakageが問題であった。この問題が解消されれば, ECMOにおける有用性は飛躍的に高まると考え, PPHFを基礎として多孔質膜polypropyleneの細孔にsiliconeを充填し, 新しいsilicone加工Polypropylene hollow fiber膜型肺(PPHF)を開発した。ガス交換能については, 他の膜型肺と同程度の酸素添加能を有し, 吹送ガス流量/血流量比=3.0にすれば他の膜型肺と同程度の炭酸ガス排出能を有した。圧損についてはCapiox IIに近い低い値を示した。24時間の実験的ECMOにより良好なガス交換能が確認され, serum leakageも全くみられず, その有用性, 耐久性が実証された。さらにECCO2-Rに臨床応用し, 140時間の経過中, 安定した炭酸ガス排出能を維持でき, serum leakageの問題もなく長時間耐久性が再確認された。