人工臓器
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下大静脈・門脈―外頸静脈V-V bypass: 同所性肝移植手術無肝期に対する対策
菅原 健太郎薄場 彰武藤 淳阿部 幹本多 正久浅野 宏三浦 純一今野 修遠藤 幸男井上 仁元木 良一
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1676-1680

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抄録
同所性肝移植手術の無肝期対策として, 雑種成犬を用いて下大静脈血及び門脈血を外頚静脈へ灌流するV-Vバイパス装置を開発し, バイパス中の循環動態より至適灌流条件を求め, 以下の結論を得た。
1. 無肝期にバイパスを用いなかった犬でに全例30分以内に死亡した。灌流量10ml/kg/min以下でも同様に全例死亡した。灌流量10-20ml/kg/minでは循環動態上LOSのパターンを呈した。灌流量20-30ml/kg/minでは循環動態的に最も安定していた。灌流量30ml/kg/minを越えると右心負荷のパターンを示し36ml/kg/min以上では肺浮腫を合併し全例死亡した。以上より灌流量は20-30ml/kg/minが最も適当な流量と考えられた。2. 実際の灌流に際しては灌流開始直後, バイパス離脱直前は30-33ml/kg/minの高流量で灌流すれば血圧低下を防止できた。3. バイパス離脱後全例に循環血液量の減少, 末梢循環不全がみられた。この解決は今後の問題と考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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