1986 年 15 巻 2 号 p. 579-582
左前下行枝および回旋枝の分枝結紮により急性左心不全モデルを作製し, これに対して左心バイパスポンプ(LVAD)による循環補助を行ない, 心不全時とLVAD駆動時の肝血流量, 腎血流量, 腎機能を測定した。その結果, 肝血流量, 腎血流量とも心拍出量に比例して心不全時に減少し, LVAD駆動によって改善するが, LVAD流量がコントロールの心拍出量に等しくなっても, 肝および腎血流量はすぐには回復しない。また, 心不全のみ, LVADのみで腎血流と腎機能について検討すると, 心不全ではいったん低下した腎機能の回復を認めたが, LVADでは腎機能は徐々に低下し回復の傾向が認められなかった。しかしその間, 血清電解質や血清BUN, クレアチニンは正常範囲内にあった。従ってLVADによって総流量を維持しても, 臓器機能(腎)の低下がその早期(4時間まで)に認められ, 今後検討を要する問題である。