抄録
体外循環において脱血ならびに拍動流送血を行う場合, 静脈あるいは大動脈挿入部位での管径をできるだけ細くして侵襲を少なくすることが望ましい。そこで, 末広がり脱血管・先細り送血管の流動特性を解析し, 落差脱血にあっては, 落差・管径・脱血量の関係を, また, 送血管にあっては, 心拍数・圧力振巾・送血量と管寸法の関係を明らかにして, 詳細な関係資料を提示した。
埋込み形人工心臓と体外の空気源とをつなぐ空気導管の胸壁装着部での管径はできるだけ細い方が感染の面から望ましい。この部位の径管をどこまで細くできるかを明らかにするため, 閉鎖型空気駆動装置について計算機シミュレーションを行い, その結果, 空気管の全長が2m, 管内径が10mm, 心拍数が120拍/分の場合, 装着部位近傍のみを長さ10cmにわたって内径を3mmまで細かくしてもエネルギ輸送効率は, 内径が10mmそのままのものに比べてほとんど差がないことがわかった。