人工臓器
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タンパク透過性血液濾過透析の臨床効果
宍戸 寛治高山 公洋児島 弘臣衣笠 えり子中山 文義高橋 健秋沢 忠男佐藤 昌志北岡 建樹出浦 照国越川 昭三
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1986 年 15 巻 3 号 p. 1202-1204

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抄録

慢性腎不全では小, 中分子量物質のみならず分子量5000~60000程度の低分子量タンパク物質も蓄積し, これが各種合併症の原因となっている可能性が指摘されている. これらの物質を除去可能なタンパク透過性血液濾過透析(PPHDF)を, 通常の透析で改善されない貧血7症例, 骨痛3症例, 末梢神経障害1症例に試みた. 貧血症例ではタンパク同化ホルモン(A)併用の効果もあわせて検討した. PPHDF単独では, 貧血3例中1例, 骨痛3例中2例, 末梢神経障害1例に改善を認めた. PPHDF単独で無効であった貧血2例に, その後Aを併用した際のHtの改善はいずれも7%以上と著効を呈した. 一方, 3カ月以上Aを投一与し無効であった貧血4例にその後PPHDFを併用したところ, 2例にHt3%以上の改善, 2例にHt2%の上昇および輸血頻度減少効果を認めた. 以上の事実から, 骨髄造血促進作用を有するAと抑制因子除去効果を持つPPHDFの併用療法が極めて有効であったと考えられた.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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