人工臓器
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無抗凝固剤透析の経験と評価
―Herhochron Time測定による検討―
高木 信嘉小田 寿常田 康夫石川 利之
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1986 年 15 巻 3 号 p. 1289-1292

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抄録

近年術後患者や出血傾向のある患者に無抗凝固剤透析(NAHD)が試みられているが, 未だ確立されてはいない。今回我々はethylene vinylalcohol copolymer (EVAL)の中空糸膜dialyzer KF101 (クラレ)を用い, 通常ヘパリン化透析とほぼ同様の操作によってNAHDを試み良好な成績が得られた。また凝固時間測定にHemochron 400 (International Technidyne社)を用いHemochron time (HT)を測定し, Lee-White凝固時間とHTの間にr=0.90 (P<0.001, N=35)の強い相関を認め, NAHD中APTTと同様にHTの1時間値. 2時間値の延長と, ヘパリン化透析と比しNAHD中HTの有意の短縮とを認めた事より, 自動測定によるHTは透析時の凝固時間の評価に有用と考えられた。以上今回我々の施行したKF101を用いたNAHDにて, 対象者が出血の危険を回避出来た事は, 高価なメシル酸ガベキシメートを用いず, 安全にかつ容易にNAHDが可能である事が示され, 今後の有用性が増すと考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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