人工臓器
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各症例に応じた透析中のGabexate Mesilate使用量の設定とその評価
―透析前賦活化凝固時間を指標として―
北本 康則残間 保雄針生 忠男長井 克敏牧野 哲愼 昭弘丹羽 善治扇谷 博門間 弘道横井 正博関野 宏
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1986 年 15 巻 3 号 p. 1306-1310

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抄録
血液透析患者の凝固能は個人差が大きく, 抗凝固剤の使用量も個々に検討する必要がある。また透析中の凝固トラブルはV側チャンバーとダイアライザーでおこりやすい。凝固トラブルが生じた群と生じなかっ群で, 透析開始直前のヘマトクリット, 血小板数, 血清蛋白濃度, 賦活化凝固時間(ヘモクロンタイム:HT), 透析前後の体重変化量について比較すると, HTについてのみ有意の差を認め前者で後者に比べHTが短縮していた。今回, 特殊回路を用いたGM透析において, HTを指標としてGM使用量設定マニュアルを作製した。このマニュアルに従い45例のGM透析を行なった結果, プライミングにヘパリン150単位を使用した27回では, GM使用量は平均589±31mg/H, プライミングにGM50mgを用いた18回では, GM使用量は平均694±23mg/Hであった。全例とも透析は無事終了し, 透析後の出血傾向の増加, 透析中の凝固トラブル, 透析効率の低下は認められなかった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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