抄録
慢性腎不全症例の貧血の1因子として, 赤血球寿命の短縮があることが知られている。透析患者の赤血球寿命と関連性が深いと推定される赤血球変形能は健康正常者群に比し, 有意差(p<0.01)をもって障害されていた。透析により, BUN, 血中クレアチニンが低値になるにつれて赤血球変形能は改善の傾向を示した。透析患者の非輸血群(n=11)では赤血球変形能と血中Hbの間に相関性(r=0.67 p<0.01)が認められた。透析患者においては赤血球変形能の障害のあることから赤血球寿命の短縮による, 貧血因子が推定された。