抄録
前報で設計・製作したオープンループタイプ携帯型人工膵島を用いて, 動物実験を行なったところ, インスリン流量の過不足が問題となったので, 今回新たに人工膵島を開発した。前機の変更点としては, インスリン注入ポンプをローラー型からシリンジ型にしたこと, 電気回路にc-MOSを採用することにより, 省電力化を図ったことなどである。注入ポンプをシリンジ型にすることで流量は安定したものの, デッドスペースが大きくシリンジ容量を余り大きくできない事が問題となった。そこで, シリンジのピストン部に着目し, ここに小型直流モーターを組み込むことによりデッドスペースをより小さくしたものを製作した。この人工膵島の外寸法は, 約6×13×3cmで, 重量は約300gである。またシリンジの容量は10mlである。電源部もこの中に含まれており, 水銀電池(2.7V×2)を使用した。省電力化の結果24時間の連続使用が可能となった。