人工臓器
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Fontan手術後の左心不全に対する左室補助装置(single artificial heart)の応用
松田 暉広瀬 一大谷 正勝平中 俊行田村 謙二西垣 恭一大久保 修和澤 芳樹新谷 英男妙中 義之高野 久輝川島 康生
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1987 年 16 巻 1 号 p. 24-27

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抄録
単心室型の補助心臓(single artificial heart, SAH)の考えは, 左室補助装置(LVAD)のみで肺および体循環を維持させようとするものであるが, これまで実験的にのみ検討されている。我々は最近, SAHによる循環補助を行う機会を得た。症例は10歳男児で, 右室型単心室, 共通房室弁, right isomerismを有する症例でFontan手術後高度の左心不全を来し, SAHの適応となった。LVAD(20ml)を機能的左房(解剖学的には右側心房)と上行大動脈の間に装着した。開始早期には左房圧7~8mmHgでCVPが16~17mmHgとなり, PO270~80mmHgでバイパス流量は2.1~2.4l/min/m2が得られた。しかし, 出血が持続し, 心タンポナーデから2回の再開胸を要し, LVAD3日目頃から左房圧上昇, PO2の低下が生じ, 119時間後ECMO(左心バイパス)に移行したが, 2日後死亡した。SAH施行にあたっては, 脱血をよくして左房圧を下げることが重要であると反省された。SAHの臨床例の経験を報告した。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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