著者らは長時間体外循環に伴う出血傾向の防止対策として, 濃縮血小板血漿(PC)輸注法の有効性を前回の検討で確認したが, 本法のみで輸血後肝炎(TH)発生率を有意に減少させることはできなかった。そこで今回はPC輸注のほか, 供血者の選択基準をより厳格にし, 従来のGPT30単位以下から20単位以下へ下げる他, グアナーゼ活性2.9単位以下という新基準を設けて, これによるTH防止効果を検討した。体外循環時間60分以上の成人開心術症例95例を対象とし, PC輸注群(A群)と非輸注群(B群)を比較するとA群がB群に比して有意に出血量が少なかったが, 肝炎発生率は両群間に有意差を認めなかった。これに対し新基準による供血者選択群(I, II群)では, 旧基準による供血者選択群(III群)に比してTH発生率の有意の減少が認められた。