1987 年 16 巻 2 号 p. 1012-1015
家族性高コレステロール血症のホモ接合体兄妹2例に対し, LDL選択的吸着法を用い治療を行い, その効果を二重膜濾過法と比較検討した。21歳(兄)と16歳(妹)の二重膜濾過法治療中の患者2例に対し, 血漿分離後(polysulfon)にLDL吸着(Dextran-sulfate Cellulose)を行った。二重濾過膜は1次膜としてPVA or CDA膜を, 2次膜としてはEVAL 4Aを用いた。兄例では総コレステロール値が二重濾過膜法では574.3±11.7 (mg/dl)から305.0±8.1 (n=27)へ, LDL吸着では580.7士27.4から265.5±16.3 (n=10)へ低下した。減少率はそれぞれ46.4±1.8%と53.8±3.0%であり, LDL吸着の方が大きかった。LDL吸着によりLDLは兄例で1216.3±31.9(mg/dl)より425.7士35.3へ, 妹例で999.6±34.4から185.1±14.4へ有意に低下した。HDLの変化は認められなかった。LDL吸着法はホモ接合体の家族性高コレステロール血症の治療に有効である。また, 二重濾過膜法に比べ, 同等あるいはそれ以上の効果が期待できる。