1987 年 16 巻 2 号 p. 715-719
長期安定な膜透過性能を持った血液浜過器を開発することを目的として、圧損・偏流の少ないモジュール・ヘッダー部の形状を検討した。in vitroでの形状評価指標として滞流度Rを定義し形状の優劣の指標とした。ヘッダー形状は縦入型、横入型、渦巻形の3タイプ計9種類を作成評価した結果、渦巻型では、R値の血流量依存性が少なく優れた安定性を示し、横入型では低流量域での偏流があるものの流量が確保できれば低いR値となることがわかった。縦入型は周辺部に滞流が起きやすく、3つの中では最も悪い結果となった。牛血を用いたin vitroの実験では、縦入型は横入型に比べ溶血をおこしやすく、血球にストレスを与えやすい構造と考えられた。2連のモジュールによる犬の体外循環実験を行い、低血流量下、減ヘパリン条件でのモジュール劣化の加速実験を行うことにより、ex vivoにおいても渦巻型>横入型>縦入型の順に濾過性能の安定性に差のあることがわかった。