人工臓器
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新しいCellulose (Diethylaminoethyl-Cellulose)膜による透析器の検討
荘野 忠泰稲垣 王子平林 俊明森頴 太郎井上 聖士藤田 嘉一脇田 稔夫安部 道夫
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1987 年 16 巻 2 号 p. 725-728

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抄録

Cellulose系膜の一種として新しく開発されたDiethylaminoethyl-Celluiose (Hemophan®)膜を素材とした透析器を7名の慢性血液透析患者に対し臨床使用し, Cuprophan膜, PMMA膜との生体適合性に関する比較検討を行なった。総白血球数は, 透析開始後15分値において三種類の膜ともに最低となり, その後上昇した。その低下の程度は, Cuprophan膜, Hemophan膜, PMMA膜の順に強かった。好中球数, リンパ球数, 血小板数は, 総白血球数と類似の変動を示した。PaO2は, 三種類の膜ともに著明な変動を認めなかった。C3aの変動は, Cuprophan膜, Hemophan膜, PMMA膜の順に強かった。また血小板第4因子の変動は, PMMA膜, Hemophan膜, Cuprophan膜の順に強い傾向を認めた。以上よりHemophan膜は白血球, C3aに関してはCuprophan膜より, 血小板第4因子に関してはPMMA膜より変動が少なく, 生体適合性に優れた透析膜であると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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